「大丈夫」という言葉。目先の出来事に対する結果の保障ではない。

「大丈夫」

自分一人では折れそうな時。
時に、人から伝えてほしい言葉。
その一言だけで勇気づけられる事がある。

でもね。
「大丈夫」という言葉の意味はね。

~~な事が起こりますか?
~~にはなりませんか?
わたしはこの先どうなりますか?

あなたの身にその現象が起こる・起こらないを
保証・確約する意味ではない。

何をもって「大丈夫か」というか。
目先の事に対して悪いと思える出来事が起こらない、
という大丈夫は、誰も保証できない。

わたしが伝える「大丈夫」とは。
人生、いいもわるいも
嬉しいも楽しいも、
つらいも寂しいも悲しいも、
すべてあってそれでいい、
それでも人生は大丈夫、と言う意味。

・・・・

看護師の頃の話。

その日の担当していた方の話を例に出す。
40~50代くらいの男性。
とある心疾患の手術後で、1~2日後。
経過も順調、離床もスムーズ。
(点滴・管類は入っているがベッドに腰かけたり立ったりできる)

その方がわたしに
「わたし、大丈夫ですか?」
「死にませんか?」

そう訪ねてきた。

経過的にはとても順調。
でもね。
わたしはここで「大丈夫です」とは答えなかった。

わたしが男性に話した事。

わたしは、「あなたが死なない」とは断言はできない。
なぜなら、わたし自身、明日元気に生きていると、わたしは
断言できない。

人は、死ぬ事は100%である事。
それがいつか、というのは誰にも分らない。

ただ、わたしが今伝える事が出来る事は
少なくともあなたはより良くなるために
手術をし、現在の経過は順調である事。

そして、今あなたが「死ぬかどうか」
の質問をしたくなった気持ち・理由を
お話してほしい。
どうして今、そのような心配になったのか。

なぜ順調だと言えるのかは、
あなたの検査データや今の経過から説明、
順調でない経過とはどこが違うのか、
どういう点を気を付けて看護をしているのか、
患者側として協力してほしい事、
(どういう症状があったら早めに教えてほしいのか)

そして、その気持ちを伝えていただければ
こちらもできる対応はいつでもさせていただく事。
(実際の会話のニュアンスはもっとやんわりしているが)

そんな話をしたことがとても印象に残っている。

・・・・・・

でね。
わたしが患者さんに「大丈夫」と
安易に言わなくなったのにも理由がある。

全体的な印象というか、振り返ってみるとね。
わたしが患者さんに「大丈夫」と伝えている時、
大抵「大丈夫でない出来事」あったんだ。

振り返ってみるとね。
普段そんなに言わないのに、そういう場面に限って
やたらと強調して口にしていたわけで。

そういう場合の、わたしの共通点。
結局、何かどこかにものすごくひっかかりを感じていた時。

言い換えるとね、
その分、とても慎重に看ていて、
だから経過が順調(データ・状態的に)だと、
その都度「大丈夫」と伝えていた。
無意識だったんだけどね。

ただね。
確かに急変とか、思わぬ展開もあったけれど、
「結果」、大丈夫になるんだよね。

この「大丈夫」も、それぞれ意味は違うけど、
いずれも「結果的に大丈夫」としかいいようがない。

つまり。
「大丈夫」というのは
「何もトラブルひとつ起こさず過ごす」という事には使えないとわかった。

何をもって、どの時点において「大丈夫」なのか。

目の前の結果・今見えている部分の評価はできても
その一寸先の保障にはならない。

・・・・・

でね。

やっぱり「大丈夫」。

一見、いい事・悪い事なんて山のごとし。

しかし。
出来事に対する受け取り方は
その時々で違う。
何度でも変わる。
そうやって進んでいく人生。

酸いも甘いも経験した人ほど、
すったもんだあった人ほど
山・波・谷を経験した人ほど、
「大丈夫」って、伝えてくれるんだよね。

わたしもね。
患者さんの急変にも当たったし
家族間・医療者間のこじれも見てきたし、
たくさんの方のお見送りもしてきた。

一見大丈夫でない経過を見てきた。

それでも、わたしは
結果的に「大丈夫」と言える。

もちろんそれは、わたし目線。

わたし以外の他の人というのは
わたしの人生に関わる人、という立場の人。
つまり、本当に大丈夫と思えているのはわたし自身。

その人の「大丈夫」は、
その人にしか体験できない。

それでもね。
自分自身が「大丈夫」を確信すると、
人にも伝えていける。

そう、みんな大丈夫。

・・・・・・

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