正しい姿勢・美しい姿勢への誤解 ~合気道の教えから語る~

いつも「締まり気味」の現代人におすすめしたいのは「合気道」の心得。
その本質は「生き方」・「在り方」の話。

キーワードは
争わない力
導いてい引き出す
相手と一体になる

「力に力で対抗するのではなく、相手を導き動かす」

今回は、「正しい姿勢・美しい姿勢」の誤解を解くために語る。

◆「正しい姿勢」「良い姿勢」を誤解している。

わたしたちは、「正しい姿勢」「良い姿勢」「美しい姿勢」を誤解している可能性がある。
日常、学校の教育、健康・ダイエット雑誌やテレビ、各スポーツ・セラピー教室など、
いろんなところで情報が入ってくる。

正しい姿勢をとるために、胸を張って背筋を伸ばす。
モデルやグラビアアイドルのように、くびれの美しい姿勢、
ダイエットのためには常に腹筋に力を入れて・・・
前にならえ、気を付け、休め、・・・・

・・・・

さてさて、ここの教えに、大切な点がひとつ抜けているのだ。

◆「自分にとって」よい姿勢とは

これはね、合気道の先生に聞いたのだが。

「おばあちゃんが縁側で正座したままうたた寝している姿」

実はこれは「最強の姿勢」なんだそう。

その人にとって「よい姿勢」というのは。

その姿勢を維持するのにまったく力みがなく、
いつまでも同じ姿勢で居続けることができ、安定している。

でね。その姿勢なら 上から大男がのしかかっても、びくともしないのだとか。

その姿勢を取るために必要な事。

それは「本人が心地よくある事」これに尽きる。

・・・・・

ちょっとイメージしてみて。
縁側で正座のまま、のんびりうたた寝。
つまりは、本人が心地よくどこまでもリラックスしている。
寝てしまうほどにリラックスしており、かつ安定して座り続けているのである。

でね。

実はわたしもその姿勢をとる練習をして経験した。
確かに、自分がリラックスして座っているとね、
自分より大きな男性がのしかかっても、本当にびくともしない。

これには本当にそうなので、驚きなのだ。
しかしこれは文章で伝えるには限界がある。
是非、体感いただきたいものである。

ここで大切なのは

本来の「自分にとって」よい姿勢というのは、「見た目」で判断できるものではない。

「自分が心地よい・リラックスしているという体感ありき」なのだ。

力みなく、息苦しくなく、頭で考える事なく、いつまでもその姿勢でいる事に疲れない、
それが、「自分にとって」本来の良い姿勢。

つまりは、「世間的に、見た目が美しいとされる姿勢」とはちょっと違う。

自分的に楽な姿勢は、力を入れてピンっと張るものではない。

さて、あなたの姿勢は?

◆刷り込み・思い込みによって腰痛は作られる

腰痛さんのあるある話を。
「正しい姿勢」を保とうと意識しても、気が付けば疲れて丸くなる。

「ああ、すぐ姿勢丸くなるな。
頑張って姿勢伸ばさなきゃ。
あー、腰痛いな。
姿勢が丸いからだよね。」
思い当たる方へ。
それは実は、「あなたにとって」正しい姿勢ではない。

・・・・・

かくいうわたしも、腰に負担をかけてきた。
「頑張っていい姿勢をしよう」としていた。

普段パソコン作業などでどうしても前かがみになるし、
背中も丸く骨盤も倒れる。
だからその反動で腰や背中を反らしたくなる。

見た目的にも背筋に力を入れ「腰を反った姿勢」が綺麗なのだと思っていた。

でね。その姿勢を保持しようとしても、気が付いたら丸くなる。
だから、よほど姿勢が良くないと思い込んでいるから、
気が付いたら伸ばそうとしている。

でもね。
このその「反らす」事自体、すでに「力み」が入っているのである。

そして、力を入れて背筋を伸ばしていない状態を「背中が丸い」と思い込んでおり、
無意識に力が抜け丸くなっているのを「良くない姿勢」と思い込んでいる。

つまりは、リラックスしている状態そのものがわからなくなっている。
本来リラックスして力が抜けている状態を「良くない」としてしまっているのだ。

そして、通常の姿勢が「姿勢が丸い」と思い込み、
気が付けば力を入れる・体を締める方向へと向かう。

それを続ける限り、
別の場所にもまた力みを作り、負担をかける。
つまりは筋肉・神経は緩まず締めっぱなしになる事が、腰痛につながるのだ。

「自分の姿勢が丸いのが悪い」
「骨盤が倒れている」
そう思い込んでいる人は、大抵は反り腰に偏る。

よかれと思って腰を反らす。
反り腰が良くない、と聞いても、体感として理解していない。
だから、腰痛は良くならないのである。

もし。
いい姿勢を取ろうとこんなに頑張っているのに!
そんな、「こんだけ頑張っている感」があるならば、ちょっと立ち止まるサイン。
自分にとっていい姿勢を取るのに「頑張っている感」は不要なのだ。

必要なのは「心地よさ」。
そんな場合は一度、プロから適切な指導を受けてみるのもひとつかと。

◆合気道のシーンで、大男が大げさに転がるのは本当か?

実はね、
ほんとになる。

合気道や、時代劇の殺陣の立ち回りなど、
達人がひょいっと動くだけで相手が大げさに転げまわるシーン、
手首をちょっと返すだけで相手が大げさに痛がり転げる、
ご覧になった方も多いともうけれど。

わたしも、実際に体験したので、そうなる意味がよくわかった。

力で来たものを、「力で返さない」とね、そうなるのだ。
ここはいずれまた別記事で詳しく述べる。

・・・

合気道の教えで大切なのは

「意識の置き所」
「心の在り方」
「自分の体の声に従う。自分のニュートラル・自分の心地いいとは」

力で相手を負かすのではない。
意識は頭でなく、下腹へ。
負けないように踏ん張らないと!相手を負かしてやろう!そうなった途端、「力技」になってしまう。

力技・パワーゲームになってしまうとね、当然力が強い方が勝つ。

でね。
自分にとって心地いいとは?を「頭で考えた」途端、
まったくもってわからなくなる。
考えてわからないとね、からだがこわばり、動きが止まる。

スポーツでもなんでも、
「緊張して本来の力が出せなかった」と言う場面、よくあると思うが、まさにそれ。

だから、スポーツ選手でも、メンタル的な強化・サポートが必要になる。
練習やるだけやっても、いざ本番で実力を出すために必要なのは
「リラックス」「平常心」だよね。

でね。これが、スポーツでなく、危機的状況・戦いの場面だったら?

そんな 生きるか死ぬかの戦いの時。
恐怖を感じると、からだはすくむ。
でもね、一瞬の緊張とて相手に隙を与えてしまうもの。つまりは命取り。

だからこそ、いつなんぞやの時も「リラックス」「平常」な状態を作れる、その在り方が大切なわけである。
ここは、こころとからだのつながりの話でも欠かせないところなのだ。

ちなみに。
わたしは最近まで、今までひとつ大きな勘違いをしていた。
「臍下丹田に力を込めて」というけれど、
実際、丹田とは、「力の入らない部分」なんだそう。
(わたしはてっきり腹筋・お腹に力が入る事が、丹田にも力が入って集中する場所、
と思い込んでいましたが、違うのだそう)

◆さいごに

現代人は、「締める」方向に働きやすい。
(神経・からだ・筋肉・こころ→からだのこわばり、こころのこわばり)

時として、からだやこころを緩めるはずのストレッチや呼吸法でさえ、
より体を緊張させる方法でやってしまっている場合すらある。

ちなみにね。
「緩める」というのは、
よりふにゃふにゃに緩める、ではなく、
常日頃「締まっている」ものを緩める、
つまりはもニュートラル(中庸)に戻す、という意味で書いている。

自身のからだ・こころが常に締まりっぱなしだとね。
ニュートラルの状態がわからくなり、
ニュートラルな状態が、足りない・弱い・ダメに感じ、
どんどんバランスのとり方が分からなくなる。

それほどまでに、今の世の中、
からだやこころを締める方向に導く出来事や指導も少なくない。

だからこそ、「緩める」を意識して取り入れてみてほしい。